言っちゃおうかな 日活!イカした仲間の面白ばなし
- 出版:日之出出版 発売年:1984年
―目次―
まえがき
Ⅰ 日活のイカした男たち
・日活スターの愉快な同窓会
・日活仲間が割勘でドデカイ映画を作るんだ
・さすが天下のスーパースター、裕ちゃんの交通違反
・石原プロに集まったスターたち
・大理石の土俵で相撲を取るマイトガイ旭さん
・タフガイ裕次郎・マイトガイ旭の飲み代請求書
・悪役づくりで整形したエースの錠
・「午前中のオレの演技は税金分だ」
・“ダンプ・ガイ”からナイスミドルへ…二谷英明
・無法松のボンで名子役、サラブレッド役者の長門裕之
・慎太郎刈り旋風を巻き起こした『太陽の季節』の主役
・“悪ガキ”“ツッパリ野郎”、みんなにシゴかれた川地民夫
・桃太郎侍のヅカ狂い
・俳優歌手?山内賢のカンツォーネ
Ⅱ 日活の愛すべき女たち
・ボクより年下の“お姉さん”―――吉永小百合
・小百合のデビューは“拳銃無頼シリーズ”
・タモリが震えてイカった小百合・浜田のキスシーン
・××××を抑えるのが精いっぱい、吉行和子さんとの濡れ場
・いま宅急便の“CMおばさん”、むかし晴着ピカ一の少女スター
・レイプシーンで泣いた十六歳の和泉雅子
・お嬢さん松原智恵子が女ヤクザに……
・みんなと修学旅行なみのドンチャン騒ぎ―――浅丘ルリ子
・東映に移籍で花開いた梶芽衣子
Ⅲ ボクを育ててくれた“オヤジ”たち
・あの電柱をどけろ!!“狂気”黒沢天皇
・人間の暖かさを撮ったら天下一品―――若杉光夫監督
・あの健さんを死なせかけた蔵原惟繕監督
・これでよく食える!!二十一年で六本の寡作ぶり―――浦山桐郎監督
・医者を待機させて思いきり殴らせた中平康監督
・“青春路線”づくりの職人―――西河克己・森永健次郎監督
・“アクション”も“純愛”も一級品、小津安二郎門下―――斎藤武市監督
Ⅳ ちょっと楽しくなる裏方ばなし
・“活動馬鹿”の情熱が映画を楽しくする
・役者の企画にヒットはない
・「脱ぐのはイヤ!」誰の責任
・監督のカンシャク、「お前の顔が気に食わん!」
・大女優も照明さんにはゴマをする
・録音技師は神サマだ
・壊すセットに血まなこ―――美術屋魂
Ⅴ もっと楽しくなる面白ばなし
・ボクの女性ファンをみんなでナニした悪いヤツら
・ボクの童貞喪失―――ロケほど楽しいものはない
・あのころ、ナシモトがいたら……
・裕ちゃんのデビューで変わった二枚目スター
・“スターの証明”、高級外車
・むかし“ヤング&フレッシュ”、いま“オジきん”
・みんな歌わされた封切館でのご挨拶
Ⅵ ボクのプライベートメモリー
・眼の大負傷は他人のケンカのとばっちり
・日活最後のスター渡哲也はボクのピンチヒッター
・裕ちゃんの仲人で独身訣別宣言
・裕ちゃん仕込みのボクの酒
・ボクも子役の経験者
・ボクの付き人さん
Ⅶ ジョーと光夫の面白対談(宍戸錠・浜田光夫)
・エースの錠がイカった初対面での呼び捨て
・三年はたたる役者のケンカ
・役者稼業で食えるのはホンのひとにぎり
・動物スターには勝てません!?
・健さんは映画人、女優はみんなテレビ人
・タフガイ裕ちゃん!いま神父さま
・ルリ子が三メートルもふっとんだマイトガイのご挨拶
・役者、監督をぎょうさんスカウトした戦後新生日活
・日活映画の功労者、一に伝次郎、二に裕次郎……
・不人気だった名作文芸路線
・日活黄金時代の幕あけ
・「裕次郎と同じに歩け!」―――『太陽の季節』の大ヒット
・三悪〈旭・忠雄・民夫〉登場と裕次郎、圭一郎のアクシデント
・六〇年安保を吹きとばした「渡り鳥シリーズ」
・日活スターはドンヨク軍団
・荒れ狂った、“日活”から“にっかつ”へ
・『食いしん坊、万才!』㊙ウラばなし
・日活映画『アゲイン』を作った変なヤツ
・やっぱり「日活、万才だ!」
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表紙や目次からなんとなくそうではないかと思いましたが、80年代の芸能ゴシップ本の香りが……。
内容としては、2012年に出版された「青春 浜田光夫」と通ずるところが多く、大変面白く、かつ勉強になります。私は断然「青春 浜田光夫」をおすすめします。
「青春 浜田光夫」は、こちらの本を取り寄せて参考にしたとのことでしたが、なるほど納得です。「言っちゃおうかな」の余計な部分を省いて、更に詳細を付け加えたという印象。
タイトルからしてわかりますが、浜田光夫さんが、日活の仲間たちのエピソードを面白く教えてくれるという内容。日活が好きな人、映画が好きな人はとても楽しめると思います。口語で書かれていて本当にお話を聞いているみたい!
宍戸錠さんとの対談形式で語られる最後の章は、ニューフェイス一期生のジョーさんならではの知識量が凄い!(宍戸錠さんの「シシド」を読むと尚良し。)
「日活」から「にっかつ」へ移り変わった時の荒れ具合なんて、もう今となっては誰も教えてくれないから新鮮なエピソードでした。今はロマンポルノでもなく配給会社となり、日活黄金期の扱いも悪くないけれど、全てを捧げた日活という会社がポルノ専門になり、居場所を失うスターたち……当時はどんなに不安や憤りがあったことでしょう。
想像するだけで、無理もないよ…という気持ちになりますが、それを第一線で活躍していた方々がおっしゃっているのを読めるのは貴重ですよね。
この発売当時、1984年ということで、和田浩治さんも裕次郎さんも二谷英明さんも長門裕之さんも山内賢さんもみんなみんなご存命なのが嬉しいです。亡くなってからの時代しか知らない私は、現在進行形で語られるエピソードに触れる機会がなかなかないものですから…。
ただ、浜田光夫さんにだけ興味があり浜田光夫さんのことを事細かに知りたい!となると、少々物足りないかも。主に日活時代のお話だけなので。
こちらの本で初めて知ったエピソードといえば、日活時代の付き人さんの話かな。上坂市郎さん。近映特集号で上坂さんの語る浜田光夫さんの話は載っているけども、どういう経緯で付き人になったのかは初耳でした!
そして、ずーっと気になってた所属事務所遍歴もようやく繋がりすっきり。読んでよかった。
浜田光夫さんの研究にも、日活黄金期を知るためにも、1984年当時の空気感を味わうにも、「言っちゃおうかな 日活!イカした仲間の面白ばなし」は大変貴重な重要文化財でありました。