浜田光夫 研究室

浜田光夫さんファンによる

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管理人
岡 ななみ
   

 対談≪ぼくらは団地っ子スター≫
 嫁さん来るまで気らくにやろうや!

月刊 明星 1962年11月
浜田光夫さん、松島アキラさん
   
     

  • 二人とも18歳の団地っ子。
    そして、明るくて気どったところがちっともなくて……
    これじゃ、話がはずまないのがおかしいくらい。
    団地のこと、仕事の夢、etc.をどうぞ!!
  •  
    同じ団地といえど、浜田光夫さんの住んでいる大蔵団地と松島アキラさんの住んでいる青戸団地は、北のはずれと南の端――車をとばしても、2時間近くかかるほど隔たっています。そのうえ、おたがい人気スターの暇なしとあって、どっちかがどっちかの団地を訪問して…などというチャンスはなかなかありません。
    と、いうわけで、忙しいスケジュールのあいだをぬって、ふたりに会っていただいたのは、両方の団地のちょうど中間にある新宿近くの某団地。団地ムードがいっぱいの写真をかせぎながら、大いに語っていただこうというねらい……。

     ■ 鍵いっぽんで

    松島「こんちは。」
    浜田「やあ。久しぶりだね。このまえ、あったのは…」
    松島「たしかことしの春。雑誌のグラビアの仕事だった。」
    浜田「そうそう。あの時がはじめてで、おれは、きみのあだ名がスピッツだってことを知ってたから、スピッツみたいにきゃあきゃあさわぐ人かと思ったら、すごくおとなしい感じだったんで、おどろいちゃった。」
    松島「そうですか、どうも。」
    浜田「ところで、きょうは団地の話っていうんだけど…きみんとこは部屋いくつ?」
    松島「二部屋。6畳と4畳半とバス、トイレ、台所。」
    浜田「へえ。うちとまったくおなじじゃない。」
    松島「そうですか。でも、浜田さんのところは住宅公社でしょう?うちは、公団のアパートだからちょっとぐらいちがうかもしれない。」
    浜田「ああそうか。」
    松島「でも、団地ってべんりでいいね。」
    浜田「うん。鍵が一本で戸締りがぜんぶOKなんだからね。おれは、小さいころから、おふくろとふたりぐらしだから、ずっとアパート生活だったけど、なれてるせいか、ちっとも不便を感じない。欲を言えば天井がちょっと低くて、板じゃないことだけ。」
    松島「ぼくも、当分引っ越す気ないな。」
    浜田「きみんとこは、どうして団地にはいったの?」
    松島「うちはね、道路の拡張で立ち退きすることになったから。もう相当なおんぼろ家になってたから、ちっとも惜しくなかった。それより建ったばかりの団地へ入ったときは、きれいだし、スマートだし、嬉しかったな。もう4年になるけど。」
    浜田「うちは2年前からだよ。」
    松島「まあ、嫁さんが来るまではいまんとこで、じゅうぶんだな。」
    浜田「そうだよ。おれはまだあと10年は大丈夫。」
    松島「浜田さん誕生日いつ?」
    浜田「10月1日。」
    松島「あっ、それじゃ9月30日までは、ぼくと同じ年なんだ。」
      (松島さんは7月5日生まれですから、約2ヶ月のあいだはふたりとも同い年の18歳ということになります)
    浜田「すいません、先輩面しちゃって……(笑)」
    松島「いや、でも学年は、やっぱり1年先輩だから。」
    浜田「とにかく、あと10年でもたって好きな女の人なんかできちゃって、結婚することにでもなれば…いまのアパートみたいなこぢんまりした家でも建てて…」
    松島「そうね、あんまりでっかくないほうが、いいね。そのころには、今の団地も古ぼけてくるだろうし…」

     

     ■ 団地のファン

    浜田「アキラちゃんとこも、同じ団地の人が遊びに来ることある?」
    松島「ほとんどない。同じくらいの年頃の子いないもの。」
    浜田「小っちゃい子どもはいるけどな、いくらでも…。」
    松島「わいわいうるさいほど。ああいうのが、ほんとの団地っ子って言うんじゃない?」
    浜田「そうだよ。団地で生まれて団地で育ってるやつ。おれたちは、なんていうか…。」
    松島「団地青年?団地野郎?ピンとこないな(笑)」
    浜田「まあ純粋な団地っ子じゃないね。でも、うちの団地には、ひとり、ぼくと同級生で、やはり日大へ行ってるやつがいるんだよ。日大の映画科なもんだから、おれんちへ来て、よく話し込んだりしていくけど、おれのほうは、ほとんど学校へ行けないじゃない、忙しくて。かれがいろいろ学校であったことなんか、教えてくれるんで、すごく助かってるよ。」
    松島「そりゃ、いいな。ぼくもそんな友達がほしいけど、残念ながら…。」
    浜田「ところでね、この夏はよく近所の人がたずねて来て。おどろいちゃったよ。サイン帳持って…。」
    松島「うちもそうなんだ。何号館のものですけど……なんて言ってね。」
    浜田「おれ、最初はどうしてだろう、と思ってたけど、夏休みで、いなかから親類の子なんかが遊びに来てて、サインもらってくれ、なんていうらしい。」
    松島「あ、そうか。ぼくんとこなんか、ひどい時は、夜中にどんどん戸を叩く人までいた。」
    浜田「そりゃ、ひどいな。」
    松島「いくらなんでも、同じ団地の人じゃないと思うんだ。どっかほかのところからたずねて来たんだろうけど…。」
    浜田「昼間、休みの時ならいいけどな。」
    松島「そうね。忙しくて睡眠不足の時なんかね、ガンガンやられるとたまらない。」
    浜田「ひとつしかない戸をね。(笑)おれはね、ひまでうちにいるときは近所の小っちゃい子どもを、大勢呼んでくるんだ。おれ、子どもが大好きだから。そいで、お菓子あげたり、いっしょにツイスト踊ったりして遊ぶ。」
    松島「へーえ。おどろいちゃうな。ぼくも、子どもは好きだから、外ではよく遊んだりすることがあるけど家の中へ呼んでまでは…。(笑)」
    浜田「おれは、きっと子煩悩だな。(笑)」
    松島「でも、団地にいて、あんまりスタースターした暮らしをしていないと、まわりでもそんなにスター扱いしないから、その点はいいね、団地って。」
    浜田「そうだよ。それが団地のいちばんいいところだな。」

     ■ 仕事はきびしくやろうぜ

    松島「ぼくが、この前日活に出てた時(松島さんは8月封切られた日活映画『泣くんじゃないぜ』に主演)、ちょうど浜田さんは『零戦黒雲一家』のロケで、種子島へ行ってて、留守だったでしょう。残念だった。」
    浜田「ああ、ほんとね。」
    松島「いままで映画には5、6本出たことあるけど、本格的に芝居をやったのは、今度がはじめてだったからおもしろかった。でもね、やっぱり映画って、すごくむずかしいもんだなあ、と思ったな、つくづく…。」
    浜田「そう。おれはおれで、歌ってすごくむずかしいもんだなあ、とつくづく思ってるんだけど…。(笑)」
    松島「もうだいぶ吹き込んでるんでしょう?たいへんなライバルが現れたもんだ。」
    浜田「とんでもない。おれの歌なんか歌のうちに入らないだろ。第一、うまく歌っちゃいけない、なんていわれて吹き込んでるんだから…。(笑)」
    松島「もう歌いはじめてどれくらい?」
    浜田「1年たつかな。『夜』とか『おれの眼をみろ』とか、へんなタイトルの歌ばっかりで。それでも、もう8曲吹き込んだかな?今度12月にLPが出ることになっちゃった。」
    松島「すごいね。いよいよ、たいへんなライバルだ。」
    浜田「そんなに言わないでくれよ。おれのは、ずぶのしろうとの歌なんだから。だけど自分の仕事だけは、きびしくやっとかないとね。ふつうの家より、隣近所が近いから、ハジかいちゃうじゃない。」
    松島「ほんとね。窓から首出したら、隣のテレビに自分が映ってるのが見えたりするくらいだから…。(笑)」
     


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    年齢確認をするまで松島さんが冷たい気がするのは私だけでしょうか(笑)

    当時は本当に“母一人子一人の団地っ子”を取り上げられる記事が多いです。
    団地の子供たちと遊ぶ姿も雑誌でよく使われておりますね。普段から家にまで呼んで遊んでいたとは驚き!浜田光夫さんに遊んでもらえるなんて、うらやましい限りです…
    この対談から3年も経たないうちに浜田光夫さんは一戸建てにお引っ越しをしますね。

    『おれの眼をみろ』という曲はレコードに入っていない気がするのですが…幻の音源なのでしょうか。気になる!!


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