浜田光夫 研究室

浜田光夫さんファンによる

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管理人
岡 ななみ
   

 伊豆の踊子

   
    配給:日活

    公開:1963.6.2

    監督:西河克己

    脚本:三木克巳、西河克己

    共演:吉永小百合、高橋英樹、大阪志郎、宇野重吉

    浜田光夫さんの役名:現代の学生

    ♥ ストーリー
    大正末期、学生・川崎(英樹)は旅の道中旅芸人の一行と出会う。その中の踊子・薫(小百合さん)との淡い思い出を描く。

    浜田光夫さんは、原作には無い、現代のシーンで登場。大学教師となった川崎(宇野重吉さん)の教え子役。冒頭の数分と最後の2シーン+予告編にのみ特別出演。

    ♥ 資料
    1963年の近代映画に興味深い記述がありましたので一部抜粋し引用させていただきます。
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    「伊豆の踊子」は吉永小百合と高橋英樹のコンビ作品で、浜田光夫はチョイ役ですが、「あなたは、どのスタアが出演しているから見に来られましたか」というファン調査では、
    吉永小百合 85.4%
    浜田光夫 19.4%
    高橋英樹 16.0%
    というおもしろい結果が出ているのです。
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    全部で100%越えているのは複数回答可だったのでしょうか。
    それならいっそのこと学生を浜田光夫さんが演じれば良かったのでは…?と思いましたが原作を読むと、イメージが違うんですよね…。日活も色々思案しての配役だったのでしょう。

    また当時の雑誌にとても良い文章がございますので、引用させて頂きます。
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    「伊豆の踊子」は、吉永小百合さんと高橋英樹さんの共演作品。
    浜田くんが登場するのは、プロローグとエピローグの二場面だけ。だが、たったそれだけでも”純愛コンビ”が顔を出すと出さないとでは大違い・・・という会社の商魂もさることながら、吉永・浜田コンビの偉大な力を、まざまざと見せつけられた気がします。
    たった二場面。もちろん、浜田くんの出演料も主演作品にくらべると半分程度。いわば、お付き合いの顔見世ともいえますが、この短い登場シーンでも、彼の演技が決して”やっつけ”でなかったことは、この作品をご覧になった方はよくおわかりでしょう。
    高橋くんの扮する大正末期の旧制高校生と、現代の大学生。この対象的な風俗や気質の相違を説明するために、人知れず努力を払った彼でした。服装からセリフの端々まで、彼自身の研究と創意がにじんでいるのです。あっぱれな役者根性と言えましょう。
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    なるほど。商業的な企みがあったのか。当時、浜田・吉永コンビ作品、他の相手役との作品、と交互に作ろうとしていたとの記述もあるのですが、やはりコンビでの作品の方が人気だったのでしょうか。
    本当に全くこの方のおっしゃる通りで、短時間の出演にもかかわらず、あっぱれです。


    また良い資料を見つけました。
    浜田光夫さんと吉永小百合さんの対談より。抜粋して引用させて頂きます。
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    浜田「お話の前後にチョッピリつきあわせて戴きました。ヒデキには悪かったけど・・・。(笑)」
    吉永「短いシーンだったけれど、みんな感心していたわ、浜田くんの芸熱心に 服装から言葉づかいから、すっかり現代の大学生になりきっているって。浜田くん自分でいろいろ工夫したんですって?」
    浜田「工夫ってほどじゃないけど、そこが現役大学生の強みサ。」
    吉永「そういわれれば・・・ほんとにそうだったわ。(笑)」
    浜田「なんだい、心細い返事だなア。(笑)もっとも、あんまり大学へ行かない大学生だけど、やっぱり仲間同士ふだん喋ったり、遊んだりしてるなかに、自然ににじみ出るものがあるし・・・・。」
    吉永「現代大学生気質、といったようなもの・・・・。」
    浜田「それそれ。なにかこうスカッと割りきった、いい意味でのドライさがあるだろ。そいつを表現できたらと思ったんだ。あんまりうまくいかなかったけど。」
    吉永「ごケンソン、(笑)とってもお見事でした。」
    浜田「ま、小百合ちゃんには『俺の背中に陽が当る』で、なにかとご協力いただいたし、ほんのお礼のシルシに・・・。ヒデキのやつ、「あんまりやりすぎて、オレの営業を妨害するな」なんて・・・。」
    吉永「いった?」
    浜田「イヤ、言わなかったけどサ。(爆笑)」
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    原作には無い役なのに本当にお見事ですよ。浜田光夫さんじゃなかったら、この現代のシーンいらなくない?って思ってしまいそう。無くても成り立つシーンなのだから。それでも印象的なシーンになっているのは、そんな浜田光夫さんの熱心な工夫、努力の賜物といえましょう。
    ヒデキには営業妨害でしょうけど。(笑)


    ♥ 個人的に好きなシーン
    好きなシーンも何も、2シーンのみなのですが。これがまたすこぶる良い。

    カラー作品ですが、冒頭とラストの現代シーンは白黒。
    授業を終えた川崎先生(宇野さん)のもとへ駆け寄ってくる学生(浜田光夫さん)。『付き合っているダンサーの彼女と結婚をしたい。先生が仲人をやってくれませんか。』とのこと。
    彼女(小百合さん)も来ているのだが恥ずかしがって隠れている。そんな彼女を見て「あいつもいいとこあるな!」と笑っている。

    いつもの学生役のときよりもちょっと軽い感じ。大正時代の学生との相違の表現か。

    彼女の身の上を聞かれ、不安な表情。
    先生は自身の学生時代、旅先で出会った踊子のことを思い出す・・・

    この後、先生の元を離れ彼女の元へ駆け寄り報告するんだけど、この二人のやり取りもいつものお二人とは雰囲気が違って(イケイケカップル)、浜田光夫さんも小百合さんも凄いな、と心の底から感動。ただ見た目良くて人気あるスターとは違うよなああ!

    そして予告編。

    先生が歩いていると後ろから「先生~~~~!」と手を振り駆け寄ってくる。
    なんて気持ちの良い笑顔なのでしょう。

    予告編だけでも価値ある。DVD購入するの迷ったけど、買って損なし。

    純真無垢な踊子・薫と、生真面目な学生・川崎。そんな大正時代の二人との比較として、あっぱれでした。

    ここではあくまでも浜田光夫さんの出演シーンのみをご紹介致しました。
    川端康成さんの原作を読み、1933年の田中絹代さん版、1960年の鰐淵晴子さん版、1963年の吉永小百合さん版、1974年の山口百恵さん版の映画を観ましたが、
    個人的には吉永小百合さん版が一番好きです。日活贔屓ということを置いておいて、原作に対する余計な付け加えが1番されていないと思う。大きく違うのは現代シーンと謎の郷えい治さんの出現で最後の別れが出来ないところ。しかしその言葉も交わせずに離れ離れになる展開こそがより美しくなっていると思う私の個人的な好み(笑)
    それに、小百合さんはもともと原作が好きだったというだけあって、原作で薫をどう描かれているのかわかっていてそれを大切に演じていると感じられるから好き。

    原作は短編なので、一本の映画にするには何か付け加えないと難しいのかも。
    「いい人はいいね。」という薫の素敵な発言は、私が観たどの映画でも使われておりませんでした。どうしてなの???

    余談も余談ですが、原作を読んでいて私の脳内上映はこの配役でした(笑)
    学生 和田浩治さん
    踊子・薫 和泉雅子さん
    栄吉 川地民夫さん
    どうでしょう?
    ちょっと美人すぎるけど薫の無邪気でお転婆なところも、踊子の格好も和泉雅子さんに似合いそう!

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