草を刈る娘
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配給:日活
公開:1961.10.25
監督:西河克己
脚本:三木克巳
共演:吉永小百合、望月優子、清川虹子、大坂志郎、菅井きん、平田大三郎
浜田光夫さんの役名:時造
♥ ストーリー
津軽地方では秋になると草刈りが行われる。草刈り部隊のそで子婆さん、別の部隊のため子婆さんは、毎年お互いが連れてきた若者を成婚させるのが楽しみだった。そで子婆さんに連れられてきたモヨ子(小百合さん)と、ため子婆さんに連れられてきた時造(浜田光夫さん)。
モヨ子に思いを寄せる幼馴染が現れたり、同じ部隊のお姉さんが殺されたり・・・
山の中で逆プロポーズ。ようやく思いを通わせた2人は幸せいっぱい。
♥ 個人的に好きなシーン
本当にこんなことあったのかな?今でいうと夏休みの短期派遣バイトだろうか。
浜田光夫さんの津軽弁が可愛い。私はこの映画で初めて”方言萌え”という感情が芽生えました(笑)「風と樹と空と」も良いよ。
☆+.°
モヨ子含む双見集落の女の子たちが食事の支度をしている川の上流で馬を川に入れている青年が。文句を言いに行くと「知(す)らなかったんだ。草刈りには初めて来たもんでな。」なかなか素直な青年だ。もちろんこれが浜田光夫さん演じる時造です。
自分の集落へ戻り、ため子あば(おばあさん)に何やってたと聞かれ「千鳥に水っこ飲ましてやるべと思ってよ、ついでに足っこ洗ってやったんだよ。」
〈っこ〉をつけるのね。かわいいわね。
☆+.°
モヨ子と時造はそれぞれあばに連れられ、他のみんなと少し離れた場所の草刈りを二人でやれと命じられる。
「やぁ!」
草刈りを始める二人。
「モヨ子さん!一服休みにしねえかや!おめえつかれたべや」
ガスライターで火をつけ煙草を吸う時造。
「卒業祝いに兄貴に買ってもらったんだ。3000円もするんだど。」
火をつけてみて「ついたついた!」と喜ぶモヨ子に
「あたりめぇだ。ライターに火がつかねば役に立たねべな。」
当時はガスライターは珍しかったのかな?確かにみなさんマッチ使ってるイメージ!
モヨ子は千鳥に乗せてもらう約束をし、指切りをする。
☆+.°
夜、自分の集落の男子部屋で友達(高島稔さん)に「手ぐらい握ったのか?」と聞かれる。
「バカこけ。今日初めて会ったんだぞ。」
「近頃の娘は何もしないと嫌われるぞ。」
無理矢理強引にキスを迫れと実践しながらけしかけられる(笑)
☆+.°
次の日、時造は草の中何かを探している。モヨ子がどうしたのか尋ねると「ライターが見えねんだよ…。」
モヨ子にあんな高いものを?とか心当たりは?とか聞かれても「うん…」「さあ…」「あきらめる」と頼りない返事なのがカワユス
双見集落の女性(菅井きんさん)が本当に心当たりねえのかと聞くと「さっき川辺でくそたれたんだ。その時かもしれない…けどそこも見当もつかないだ。」
探しに行く!とモヨ子。恥ずかしいからいいよ!と止めもせず座って待ってる時造。なにこのほのぼの映画!!
座って煙草吸おうとして、あっ、火ないんだった、という一連の動作がかわいい。寝転がっていると「時造ーー!あったよーー!」とモヨ子が駆けてくる。
「体小さいのにクマみたいなくそするんだなぁ。」
「んだ。おら、うんと食ってたれて働く主義だもんな。」
お二人とも可愛いお顔してなんてことを…羞恥というものがなくて清々しい。ほのぼの。
煙草を吸ってみて、むせるモヨ子に「やっぱりやめといたほうがよかべ。」と笑いながら背中をさする時造。この時の浜田光夫さんぜーったい良い表情してるのに小百合さんを映してるから表情が見られなくてくやしい(´;ω;`)こういうことよくある。
「おらの理想聞いてくれるか?」と言うモヨ子に「ああ、しゃべってみろ。」←←←ここ萌えポイント!
子どもをいっぱい産んでカラカラとしたおばあさんになりたい、と語るモヨ子に、これからは少ない子どもを大切に育てて、農業も機械化して余った時間を他の儲かる仕事に当てるべきだ、外国人に比べ身体が貧弱、特に女性は……と日本人女性をディスる時造ww
「外国のおなごはくそのにおいかいでライター探してくれないのに、時造は恩知らずだっきゃ」と思い切りつねられる。そーだそーだ!
かねてからの約束を果たし、愛馬・千鳥に乗せてあげる。この浜田光夫さんの破壊的可愛さ!
落馬し、一緒に転がってしまう。「大丈夫か?」と声をかけ、見つめる時造。
この目…!たまらんな。
同室の男の子の余計な吹聴を思い出しちゃうんだね。無理矢理ちゅーしようとして、嫌がられ、手首を噛まれてしまいます。そして時造のバカヤロー!もう口きかねえ!と、1人千鳥に乗って走り去るモヨ子。時造置いてきぼり(笑)
そりゃそうよ!嫌がった時点でやめなさいよ!
しかし時造は悪くないよね~!そそのかした友達のせいだよね!(笑)
小屋へ戻り、友達に傷の手当てをしてもらう時造。「まったくひでえことするおなごだな。」という友達。
「おめえが悪いだど。おなごは暴力的ムードに弱いなんて言うから。」
「男が好きなおなごにキスするなんてあたりめぇだべさ。モヨ子さんだっておめえのこと好きだばキスくらいさせてもええべ。」
「モヨちゃんおらのこと好きでねえのかな…」
「そうかもしれねえな。」
「したどもモヨちゃんおぼこだなんで…」
「なんぼおぼこでも現代のおなごはキスくらい常識だべ。」
そんなに時造を悲しませないでーー!一方モヨ子も女子たちで、モヨちゃんは悪くない、強引に迫るなんてサイテー!とガールズトーク。
それぞれの友達、高島稔さんと千代侑子さんが相手に文句言いに行くんだけど結局いっしょにお祭りに行くシーン好き。
☆+.°
そのお祭りにて。モヨ子の幼馴染でモヨ子に想いを寄せるライバル・一郎(平田大三郎さん)が現れておりまして、のど自慢大会のあと一郎に連れられて出ていくモヨ子を目で追いやきもちやいてる時造。少しあとから追いかけて様子を伺います(笑)
おもしろくなさそうな表情ね。浜田光夫さんのこの表情大好きでいつもキャプチャ撮りまくっちゃう(笑)
少し離れたところから様子をうかがっていたところ、モヨ子のあばがお風呂で倒れたたいう知らせが。駆け付けるモヨ子と時造。慌てる人々をよそに、ただの湯あたりだよ、と冷静に的確な処置をする時造。
おぶって小屋まで運んであげる時造。すっかり元気になったあばにどぶろくをすすめられたりもてなされている時造、まだ口も利かないモヨ子。自分の方のあばも待ってるから帰るという時造をモヨ子に送らせるそで子あば。
ふたりで歩きながらこの前の出来事を謝る時造。「謝るなら最初からあんなことしなければいいのに」的なことを言われ
「おらにもわからねんだどうしてあんなことなったのか。」
時造の背中が濡れていることに気が付くモヨ子。「なんでもねえよ」とごまかす時造。
「まだ正式に時造と結婚すると決まったわけじゃねえ…」
「わかったよ。順番を間違ったんだ。まず正式に求婚をせねばならなかったんだな。」
うーん、それだけではないと思うけど言葉にするのは大事だね。
ここで一郎が現れます。
「お前が時造か!」
「ああ、おらが時造だが。」
「モヨちゃん、おらと時造どっちが好きだ?」
ふたりとも嫌いじゃない、と答えるモヨ子に、東京から戻ってきたのはモヨちゃんが好きだからだ、と言う一郎。時造も「おらだって!おらだってモヨ子さんが好きだ!」いつになく男らしい♡♡
力尽くで勝負だ!と言う一郎に時造も応戦。暗闇の中殴り合う。倒れる時造。
駆け寄るモヨ子を「おらの負けだ!」と突き飛ばす時造。
「嫌いだ!二人とも!」と走り去るモヨ子。
☆+.°
双見集落のハマ子が遺体で見つかる。独り身で、コツコツと貯金をしていたハマ子。集落の人々は口々に、女で独り身は良いことねえ、ハマ子も結婚していればこんなことにはならなかった、と話している。
人々から離れ山奥に入っていくモヨ子。それを追う時造。を、少し離れて追う一郎。
「どうすたんだ」「おらからはなれないでついてきてけれ」
時造に抱き着くモヨ子。
「時造!おらおっかなくて…おらを嫁っこにもらうか?」
「えっ!?!?」
「ひとりじゃ生きていけねんだ。な、おらを嫁っこにもらえ!おら、おめえの嫁っこになりてえんだ!時造、おらをもらえ!」
「モヨ子、おまえ、本気でしゃべってるんだか?嘘ついたら、後で承知ならねえど!」
「おら本気だ!」
「おめえ、本気で嫁っこに来るんだが。おら、おめえんこと一目見た時から好きになったんだよ。」
「おらもだ!時造、おらんこと折れるほど強く抱け!」
「よおし!」
ぎゅっと抱きしめ、お姫様抱っこしてくるくる回る時造。浜やん細いから大変そう…
そのまま木の蔭へ…
「モヨ子よ、約束した印におめえにこれやるからしまっとけや。」と、ライターを渡します。
「これ大事なんだべ?」
「おらの志だよ!」
☆+.°
そで子あばの小屋でライターをつけたり消したりしているモヨ子。エンゲージリングみたいなものだと、あばに結婚の約束をしたことを話す。
「時造がどうしてもおらを嫁っこに貰いてえって言うんだ。」え?!(笑)
時造は良い奴だ、この前おんぶして送ってくれた時、背中で時造の背中でおしっこをしてしまったが時造は何も言わず隠し通してくれたんだ、と話すそで子あば。
だから背中濡れてたのか。時造優しすぎるぅぅぅぅ!!!
☆+.°
二人で原っぱで寝転びながらお話。
お花一輪くるくるしてて可愛い。
「時造、あばが、思いやりのあるええ亭主つかんだと言ってたけど、おめえそうか?」
「おもいやりがあるかどうか暮らしてみねばわからねえことだからな。」
「おらはおめえのこと親切な人だと思ってるんだ。でも一生に三度くらいならおめえに殴られてもいいと思ってるんだ。」
「おら殴らないで口で言うよ。」
「遠慮しなくていいんだよ?」
「おめえはおかしなおなごだな(笑)」
「約束してもらいたいことがひとつあるんだけど…」
「しゃべってみろ。なんの約束だ。」
「祝言が済むまでおらはおめえに触れてもいいけど、おめえはおらの体には手を触れてはならねえって約束だ。」
「(笑)。あきれたおなごだな、おめえは。今更改めて約束しなくたって、おめえの牙にはこりごりしてるんだからな。」手首をさする。
指切り。
「約束だよ!おらすっきりした!」
☆+.°
草刈りを終えた一行はそれぞれ帰って行く。
「終」
浜田光夫さんと小百合さんの共演作として初めてのカラー作品、長編作品だったそうです。
一カ月近く滞在していたロケ地(青森県)は浜田光夫さんにとって思い出深い場所となったそうです。
1963年頃の雑誌では、「『草を刈る娘』のロケで行った青森県弘前の岩木山は最高でした。郷土色豊かな青森弁をききながら、津軽富士とよばれる岩木山を眺めていたら、東京の雑踏をすっかり忘れてしまいました。」とおっしゃっていました。
全体的にいつの時代だよ!と、状況をすぐ理解できない感は否めませんが、浜田光夫さん鑑賞にはおすすめ。
今の感覚では笑ってしまう純粋すぎるところも萌え要素としては楽しめます。