浜田光夫 研究室

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岡 ななみ
   

 サンダカン八番娼館 望郷

   
    配給:東宝

    制作:東宝、俳優座映画放送

    公開:1974.11.2

    監督:熊井啓

    脚本:広沢栄、熊井啓

    原作:山崎朋子

    共演:栗原小巻、高橋洋子、田中絹代

    浜田光夫さんの役名:矢須吉

    ♥ ストーリー
    ノンフィクション作家・山崎朋子さんの「サンダカン八番娼館、底辺女性史序章」が原作だそうです。
    女性史研究家・圭子は明治~昭和初期にかけて外国に売られていった少女たち“からゆきさん”のことを調べるため天草を訪れる。そこで出会った元“からゆきさん”の老女・おサキさんと出会い、寝食を共にしながら、当時のことを聞き取っていく。

    田中絹代さん演じるおサキが圭子に過去を語るシーン、高橋洋子さん演じる10代から30代のおサキのシーンの二つの時代のストーリーが描かれる構成になっていました。
    浜田光夫さんは、おサキの兄・矢須吉役。10代から30代を演じられています。


    ♥ 浜田光夫さんご出演シーン
    ※ストーリーの流れ関係なく浜田光夫さんのシーンのみです。一度観て取ったメモを元にしているため不十分な個所や私の思い込みな部分があるかと思われます。


    父が亡くなり、母、矢須吉、サキの3人は貧しい暮らしをしている。ある日母は商家の後妻に入る。肩身の狭い思いをする矢須吉とサキ。サキが夢中でご飯を食べるとその家の子供たちは馬鹿にして笑い出す。サキは気にしないが、矢須吉は悔しそうな表情を浮かべる。兄弟は二人で泣いている。そこへ現れた怪しい男。矢須吉は三菱炭鉱で一日30銭で働かせてやる、サキは外国へ行ったら綺麗な服を着て白飯をお腹いっぱい食べられる、とそそのかす。

    兄妹で浜辺で話している。「おサキ、ほんなこつ外国行く気か?」
    お兄ちゃんは外国へ行ったらその後どうなるかわかっているようだ・・・。辛い。
    浜田光夫さん当時もう30歳なのに10代の役でも違和感ない。かわいい。高橋洋子さんも20歳くらいなのに違和感ない。お二人とも童顔だからか、本当に田舎の素朴な兄妹に見える。

    お母さんが織ってくれた着物を着て嬉しそうにするおサキ。辛い。
    その着物を着たサキはボルネオへと向かうへ乗り込む。
    その頃、矢須吉は草刈り鎌を持ったまま仕事場を抜け走り出す。船の汽笛が聞こえてくる。
    「おサキ… おサキーーーーーーーーーーーーーーー!」
    持っていた鎌を自分の腿へ振り下ろす……


    一刻も早く日本へ帰ろうと腹を括り必死に娼婦として働くおサキ。時は流れ、すでに30代になっていた。
    太平洋戦争後、天草へ帰り、嬉しそうに実家を訪ねる。出てきたのは赤ん坊を抱えた兄の嫁。母は亡くなっていた。

    奥から兄さんが出てくる。「手の放せん仕事しとって…迎えに行けんで悪かったな…」
    なんだか様子がおかしい。よそよそしい。
    足を引きずっている矢須吉兄さん。あの日鎌刺したもんね…。
    おサキが「足どうしたの?」と聞くが「長旅で疲れたろ?」とごまかす。
    ご近所にお土産を持って挨拶回りに行きたい、いつが良いかな、と提案するおサキに、「それはよかばい。外聞の悪かとたい。昔と違って、外国に行ってたと言うと世間で目くじら立てよる…」

    おサキがお風呂に入っていると、兄夫婦の会話が聞こえてくる。
    兄嫁は、おサキのお金で建てた家だからと追い出されるのではないか、子供たちへの影響も心配だ、どうにかしてくれ、と矢須吉に訴えている。
    矢須吉も「この家は俺が建てたんだ。あいつも一時すりゃ帰って行くだろう。」……
    ひどい。世間の目や嫁や子供たちのこと、板挟みも辛いだろうが、あまりにもひどい。

    居場所がないと悟ったおサキは兄の家を出る。



    浜田光夫さんご出演シーンはここまで。
    妹が売られていくのを知りながらどうすることも出来ない葛藤、
    すまないと思いながらも帰郷を受け入れられない、どうしてあげることも出来ない辛さ。

    難しい立場の矢須吉さん。浜田光夫さんが必要な映画だったと思いました。
    熊井啓監督はこの時の浜田光夫さんの熱心な仕事への打ち込み方を高く評価し、1980年の「天平の甍」に起用されたそうです。


    とても辛いけれど、しっかりと受け止めねばならない事実であり、そのような女性がいたことを忘れずに生きていこうと思います。

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