浜田光夫 研究室

浜田光夫さんファンによる

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岡 ななみ
   

 天平の甍

   
    配給:東宝

    公開:1980.1.26

    監督:熊井啓

    脚本:依田義賢

    共演:中村嘉葎雄、大門正明、草野大悟、田村高廣

    浜田光夫さんの役名:玄朗

    ♥ ストーリー
     原作は井上靖さんの同名小説。唐へ渡った4人の留学僧の姿を描く。高僧・鑒真を伴い再び日本を目指す。


    ♥ 個人的に好きなシーン
     
    今でも書店に並んでいる原作の小説を読んでみたらとっても面白くて、どうしても映画も観てみたくて調べていると、レンタルでVHSを発見!無くなる前に見なくては!と、即レンタル。小説と比べるとやはり脚色されている点も多いですが、浜田光夫さん演じる玄朗は、映画の方が好感が持てます。

    遣唐船に乗り込んだ、普照、栄叡、玄朗、戒融。書物を読む普照(中村嘉葎雄さん)のもとへ行き、「俺も何か持って来るんだったなぁ。波が荒くてとても書物など読めないと思っていたんだが、こんなに静かならなぁ~。」と玄朗。無言で「四文律行事鈔」の第七巻を差し出す普照。

    読み始めた玄朗に魚をぶつけ意地悪な戒融(草野大悟さん)。こんなシーン原作には無いね!
    坊主なのは、かつらなのかな?「石合戦」の頃とあんまり変わっていないような(笑)

    その後は船酔いで口もきけない。戒融がただいじわるな奴なのが残念。原作ではそんなことないのに。


    「陸が見えたぞー!!!」出発から3ヶ月後の漂着。


    玄朗が弱音を吐き始めます。

    「秋に遣唐使船が帰ることが決まった。俺も帰ろうかと思う。」早っ!これは原作も同じ。
    普照に「貴様一体何のためにこの国に来た。」とつっこまれてしまいます。
    「くにの人たちにおだてられ、その気になったのがうかつだった。お前は学問ができるから唐へ行けば出世するぞって。」
    普照「意地でも期待に応えようとは思わんのか。」
    「家業の材木商を継いでいた方が性に合っていたなぁ。日本でなければ、日本人は金輪際本当の生き方は出来ないよ!!!誰が何と言ったってこれだけは真実だよぉ。」
    語尾がソフトで優しいよね、浜田光夫さんって。

    真備様(梅野泰靖さん)の話を聞きに行って、玄朗だけ笑うシーンも好き!!「上を向いて歩こう」の牧さんと良二だぁ~って思ってしまう。

    秋に日本を目指し出港した船(玄朗が俺も帰ろうかと思う、と言っていた船)が嵐に巻き込まれ消息を絶った話を聞き、
    「良かった乗らなくて~助かった~~」調子良いなー。
    小説で玄朗が言う「われわれの場合だって、無事に帰国できるとは決まっていないんだ。帰国できるかもしれないし、できないかもしれない。われわれはいま海の底へ沈めてしまうだけのために、いたずらに知識を掻き集めているのかも知れない。」というセリフも是非言ってほしかったな。違うシーンで戒融が言ってるけど。

    そして玄朗失踪!小説ではしばらく消息不明になるが、映画ではすぐ見つかる。
    仲麻呂様だったかな、生きて日本へ帰ることだな、と去っていったあと、玄朗「日本へ帰れと言ったって、どうやって帰るんだ。もう帰れないよ!」地面に憤りをぶつける。もう帰らせてあげて~~~。

    戒融が旅に出ると言う。普照も一緒に行こうかな、と言い出し、止める栄叡。もともと仲の悪い戒融と栄叡は喧嘩を始める。そこへ玄朗がやって来て、「十戒師が見つかったぞ!!!」これで鑒真和上と出会えるんですね。玄朗「あ~、これで帰れるんだな日本へ!!」と嬉しそう。

    戒融はひとりで旅に出て、3人は鑒真の元へ。

    和上にご挨拶。

    なんと鑒真自ら日本へ渡ってくれるという。
    しかし唐でも高僧の鑒真はそう簡単に渡航の許可が下りない。

    玄朗「あぁ~、ぁ~、この暑いのに冬の炭団作りだって。鑒真和上が行くと言われなかったらこんな騒ぎは起こらず、とっくに日本に帰れたのになぁ~。」
    栄叡(大門正明さん)「バチ当りな事を言うんじゃないよ。そんなに帰りたかったらお前ひとりで泳いで帰ったらいい。」

    玄朗の顎に炭団をつける(笑)

    玄朗も仕返し(笑)
    「玄朗!!お前は・・・!!」怒る栄叡。逃げる玄朗。仲良しだね。
    なんだか玄朗がただ帰りたがってるどうしようもない人になってるよねww

    出航の場所を目指す。いくつも山を越えようやくたどり着いたしばらく身を寄せることとなっていたお寺で、捕まる。栄叡が逮捕されてしまう。

    さてこれからどうする・・・弟子たちそれぞれの意思を聞いてくれる鑒真。何人もの弟子たちが帰っていく。玄朗も、もうお供する自信がない、でもどうしても日本に帰りたい、別ルートで日本に帰る、と言い出す。普照も帰らせてやってください、と助け船。そして別の道へ。

    栄叡は釈放され、その後も何度も渡航を試みるもうまくいかず。そんな折、 栄叡は志半ばで病死してしまう。普照は一旦和上一行と離れ、時を見計らい迎えに行く約束をする。

    写経している普照の元へ玄朗が訪ねてきた。唐衣を着て頭髪も伸ばしており、すっかり唐人のようだ。しかも妻子持ち。ほんと唐に何しに来たんだよwすっかり楽しんでるのでは?w

    「君に頼みがあって来たんだ。今度の遣唐船に乗って帰れるように。着いたと聞いたらいたたまれなくなって。」まだ帰りたかったんだね・・・

    後日、普照は玄朗の家を訪ね、渡航の許可が出たことを伝える。

    「そうか、許可が出たのか。20年ぶりだなぁ!」と喜ぶ玄朗。20年もずっとホームシックだなんてかわいそう・・・

    奥さんがなんだか意味ありげですよ・・・

    出航の日がきた。

    やっと帰れるんだねよかったよかった(´;ω;`)
    しかし「早く来なさい!!」大声で呼んでも奥さんが来ない。奥さんの所へ呼びに行く玄朗。
    「どうしたんだ。さあ、早く。」
    「幼い子供に船旅は無理です。一人で行きなさい。その方があなたの為です。」と泣く奥さん。
    板挟みかわいそうすぎる。奥さんか日本か。
    この葛藤の一連の表情、すべてお見せできないのが残念。玄朗、浜田光夫さんで良かった。

    そして一言。「お前が一緒でないのなら、私は・・・」

    「玄朗ーーーーーー!」普照が玄朗を呼ぶ。玄朗は首を横に振り頭を下げる。

    何度も名前を呼びあう普照と玄朗。離れていく船。

    ああ、とうとう帰れないんだね。とてもドラマチックな展開になっている。小説では、子供はすでに10歳前後の姉妹だったし、乗せてくれるよう頼みに来たくせにいなくなって船着き場にも姿を現さないんだよ。謎すぎる。映画の玄朗はまだ理解できる。

    浜田光夫さんのご出演はこのシーンでラストでした。その後、普照、鑒真をのせた船は無事日本に渡り、日本史で習った通りです。業行の船は残念なことに。


    高い志で唐に渡ったくせにすぐ帰りたい帰りたい言い出して挙句僧も辞め唐人の女と結婚してずっと唐で過ごす。と言うととてもしょーもない気もするけど、一番人間らしいと思う。
    小説の描写では玄朗は、他の3人より少し年下で、容貌は整っており育ちの良さを醸し出しているんですよ。うん、確かに納得、浜田光夫さんだ。
    最後の奥さんとのあのシーン、普照と別れるあのシーン。あれは浜田光夫さんでなくちゃ、あんな素晴らしいものは出来なかったであろう!

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