浜田光夫 研究室

浜田光夫さんファンによる

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管理人
岡 ななみ
   

 私、違っているかしら

   
    配給:日活

    公開:1966.7.29

    監督:松尾昭典

    脚本:倉本聰、長広明

    原作:森村佳「違っているかしら」

    共演:吉永小百合、淡島千景、市川好郎、山本陽子、川地民夫

    浜田光夫さんの役名:川瀬

    ♥ ストーリー
    孤児の就職支援をする施設での夏休みアルバイトを終え、雑誌編集者を夢見て就職活動に励む桂(吉永小百合さん)だが、片親であること、学力が芳しくないこと等を理由になかなか採用されずに苦戦していた。学生運動に精を出す級友・川瀬(浜田光夫さん)には尊敬と愛情を抱いていた。ようやく決まった出版社・独創社では理想とは異なる仕事に明け暮れる。山で事故死した大学生の遺族を取材することを命じられるが反発しそのまま独創社を辞める。呑気な母親は自分のことなどどうでもいいのだと思っていたが、母の口添えがあって就職できていたことを聞かされるのだった。川瀬とは連絡も取れずすれ違っていく…。そしてまた、三カ月の試用期間付きだが憧れの暮らしの友社で働けることとなる。認められようと張り切って企画書を提出しようとするが、雑用ばかりを任され不満が募っていく。入社から三カ月が経ち、社長から言い渡されたのは「ミスばかりで編集者には向かないが、一生懸命で昔の自分を見ているようで傍に置いておきたい半面、バイタリティのあるあなたを会社の枠にはめてしまうのはもったいないのではないかと決めかねている。もう一週間あげるからよく考えてみて。」ということだった。孤児院出身で桂を“ねえちゃん”と慕うゴロと会う。「みんなたった一度しかない人生を無駄にして年を取っていく。せめて俺くらいはやりたいことをやって生きていこうと思ってるんだ」…。
    大学の卒業式で久々に川瀬と会うが、別れを告げる。一週間後、暮らしの友社も辞めることを社長に告げる。冒頭でゴロに貰った口紅を引き、明るく前を向く桂だった。

    ♥ 好きなシーン
    ※ストーリーの流れ関係なく浜田光夫さんの出演シーンのみです。一度観た記憶を元にしているため不十分な箇所や私の思い込みな部分があるかと思われます。

    作家をしていた亡くなった父親の友人のおじさんの知り合いの出版社に推薦してもらえることとなり一安心する桂(吉永小百合さん)。
    級友の川瀬(浜田光夫さん)の部屋を訪ねます。代々木八幡駅。
    「よう!よく来てくれたな!」
    タンクトップに首からタオルをかけて机に向かっていた川瀬さん。暑そう。
    桂がお土産を渡すと、
    「こいつはすげぇや!ちょうど腹減ってたんだ。管理人に氷貰ってくるから、本でも読んでてくれ。」
    と、何やら写真たてを引き出しに突っ込んでから部屋を出る川瀬さん。桂の写真だ。
    川瀬さんの学生運動仲間も部屋へやって来る。お茶をふたつ持って戻ってきた川瀬さん。「みんなでいただくよ。」(お土産)

    二人で歩きながら話す。代々木競技場の付近。
    知り合いのつてで就職が決まりそうだと報告をする。
    「コネか。」
    「卑劣かしら。」
    「いいんだよ、それで。食っていかなきゃならないんだ。問題は体制の中でどう戦うかだ。」
    「就職すると青春が終ってしまうようで…」
    「どうして。(バテながらも走る子供を指して)ああいうのを青春って言うんだよ。(子供に向かって)がんばれー!!!」

    しかし、その出版社から不採用の通知が届く。
    川瀬さんに報告する。
    「論文がだめだったんだって?ふざけるなって言ってやれよ!君なら大丈夫だよ!君は俺とは違うんだから。」
    「あなたと私が違うってどういうこと?」
    仲間に呼ばれる川瀬。
    「名古屋で学生会議なんだ!頑張ってな!!」
    川瀬さん忙しそう。

    それからまたおじさんのつてで出版社に就職が決まり、忙しい日々を送る桂。川瀬から何度か電話があるが話せないまま。桂も川瀬にお手紙をしたためているが、送っているのか謎。返事はきていないっぽい。
    大学の「経済学部自治会」へ川瀬を訪ねるが不在。この頃顔を出さないという。

    すれ違う同級生が、就職していないのは川瀬だけだ、あんな学生運動なんてしていたらどこも入れるわけがない、と噂しているのを聞く。

    川瀬のアパートへも行ってみるが住民に「川瀬さんは引っ越したみたいですよ。くにに帰っているみたいです。」と教えられる。

    お母さん(淡島千景さん)に川瀬さんが何も言わずに引っ越していたことを報告。あの人臭い、とか左翼なんだろ、とか散々言われている。「でもあの匂いは父さんに似てるよ」「そうかな」

    そんなこんなで名前は出てくるけど会えていない為、ずーーーーーーーっとしばらく浜田光夫さん出演シーン無し。年越しちゃったよ。この間に桂は最初の 独創社 で山岳事故死した大学生の遺族の取材をさせられ耐えられず辞め、 暮らしの友社 に入るも、雑用ばかりの日々にやきもきしています。ここで川瀬さんがいてあげなくちゃ!

    大学の卒業式。友達(浜川智子さん)に川瀬さんが仲間たちと険悪なムードになっていることを聞く。
    久しぶりに川瀬さんと会う。背広を着ている。そのことを指摘すると「就職したからね!」
    叔父さんの世話で関西商事に就職が決まったこと、そのために学生運動でリーダーをしていたことは隠したということを知る。
    「食わなきゃならないということが先決なんだ。そして、その中で自分を鍛えていけばいいと思った。学生運動で掴んだものを社会の中で活かしたい。」
    「そうね。その通りだと思うわ。」
    「ありがとう。5年先10年先の僕を見て、それが嘘でないことを君に認めてもらいたい。」
    「あなたは一番そばにいてほしい時にいてくれなかった。お見合いをしに帰っていたんでしょう。」
    「お見合いなんてできなかった。ある人の気持ちを聞くまでは。
    僕は、僕は君を…!!」
    「やめて、私たちは友達よ。また会えるかどうかわからないけれど、さようなら。」
    握手をする二人。


    浜田光夫さんの出演はここまで。
    ここからは私の個人的な感想。

    川瀬さん、告白もさせてもらえず可哀想です。桂は、社会に盾突いて自分の主張をする強い川瀬さんが好きだったのかな。それが嘘ついてまでコネで就職したのを知り冷めちゃったのかな。自分はコネ入社しても励ましてもらったのに…。黙って引っ越すなんてって被害者面してるけど電話かけてきてたし話したかったんだろうよ。川瀬さんも本当は嫌だろうけど食うためには働かなきゃならないんだよ。情熱では食っていけないんだよ。桂は片親ということで苦戦するけど、川瀬は学生運動をしていたことで苦戦してるんだろうよ。同じ気持ちをわかってあげられそうなもんなのに、自分のことばっかりな桂をどうも好きになれなかった。って原作も読まずに失礼ですけども。
    辛い時には川瀬さんに手紙を書いていたということは、聞いてほしかったし相談したかったし、川瀬さんを心の支えにしていたのでしょうね。だから尊敬する川瀬さん像が壊されて悲しかったのかな。
    でも、ゴシップ記事や遺族の取材に耐えられず従えなかったというのはまだ解るけれども、与えられた雑用もこなせないのに上の人の見る目がないと文句言ってるのも好きになれず感情移入できなかった。
    強気な女の子は大好きなんだけど、あまりにも周囲への気配りが足りていないと思う。あくまでも映画のみの感想。
    結局仕事辞めるし、何がしたいの?とモヤっとして終わったけど、そういうことなのかも。現実ってそんなものかも。だからこそ身近に感じるのかも。

    呑気なふりをしながら娘を支えるお母さんと、施設を出て一人で生きていくゴロが良かった。
    要所要所で現れてグサッとくる言葉をかけていくゴロ。市川好郎さんが演じているんだけども、とても大人になっていて感慨深い…。

    浜田光夫さんのことで言うと、この作品は何とも言えないですね。この映画の撮影を終えたすぐ後に、営業で行った愛知県蒲郡市で例の事件に巻き込まれ、1年に亘る長期休養を余儀なくされるわけです。
    事件が7/25、公開が7/29。事件発生の直後の公開…。劇場で観た当時のファンはどんな気持だったろう。純粋に楽しめたはずがないよね。これが最後の作品になってしまったらどうしよう…と怯えてしまいそう。
    これから名古屋で学生会議なんだ!っていうシーン……全く関係ないのに、「愛知県は行っちゃダメェェェェェェェ!」と止めに入りたくなってしまいました(汗)
    復帰できて、本当に本当に良かった(号泣)

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