甦える大地
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制作:石原プロモーション
配給:松竹
公開:1971.2.26
監督:中村登
脚本:猪又憲吾
原作:木本正次「砂の十字架」
共演:石原裕次郎、三國連太郎、川地民夫、北林谷栄
浜田光夫さんの役名:坂口(茨城県開発課)
♥ パンフレット
♥ 甦える大地 ロケ地
ロケ地を探して行ってみました!!!
♥ ストーリー
砂地が広がる鹿島。農工両全をスローガンに鹿島臨海工業地帯の開発に励む男たちの姿を描く超大作。
♥ 好きなシーン
浜田光夫さんは、茨城県開発課の職員。裕次郎さんの後輩。鹿島臨海工業地の開発計画のため立ち退き区域の住民たちの説得、立ち退き後の住民の生活をより良くするべく奮闘する。
あまり出ないのかな~と思いきや、冒頭11分で登場。裕次郎さんと走り回っています。
鹿島の学校へ足を運び職員室で再開発のパンフレットを配る。
「先生方、どうぞ宜しくお願いします。農工両全です!地元の為の開発ですから、どうぞ、生徒たちにもよくわかるよう説明してやって下さい!」
ハキハキしておる…
☆+.°
上の人の話を真剣に聞いている。かわいい。
☆+.°
おじいちゃんのお墓参りをしていたおばあちゃん(北林谷栄さん)。
そこへ坂口さんがやって来て「ばあちゃん、部落へ帰るんだろ。バイクに乗んな。送ってってやるよ。」と声をかけ、『いいよ。』と断るおばあちゃんの言葉は気にせずおばあちゃんの荷物を運んでいきます。
オートバイの後ろに乗せて家まで送ってあげる。おばあちゃん怖がってますけど…(笑)
「さあ、着いたぞ!おばあちゃん。」
乗り物が怖くて具合が悪くなりうずくまるおばあちゃん。「どうしたんだ?おばあちゃん。」いや坂口さんが強引に乗せるからでしょう!(笑)「酔っちゃったのか?」と肩を貸し家に連れて行く。
家に上がり、振る舞われたお茶と落花生。「これ落花生だな。落花生の煮たの初めてだ。うまいな、これ。」と食べる。
「実はですね、港を中核とする鹿島臨海工業地の開発計画にあたってですね、あなたのうちが予定区域内に入っているわけですよ。立ち退き区域。」本題である開発計画のこと、立ち退き区域に入っていることを説明するも、おばあちゃんはまだうずくまているのでとても話をできる様子ではない。
「また出直してきます!」と立ち上がる。コップにお水を汲み「はい、おばあちゃん。」とおばあちゃんの傍に置いてあげる。優しい。(そもそも半ば強引にオートバイに乗せるからいけないんだけども。笑)
☆+.°
嵐で建設中の試験堤が流されてしまう。住民の反対の声がさらに強くなる。必死に説明しているところ、坂口さんのもとへおばあちゃんが承諾書類にハンコを持ちやってくる。
『坂口さん、おら、あんた信用すっぺ。』
「おばあちゃん、どうもありがとう!」
信用してもらえたね。よかったね。
☆+.°
しかし、計画は難航。
職員たちは反対派の住民たちに理解されずひどい仕打ちを受ける。坂口さんも塩かけられたり…。
住民の気持ちもわかるけど…
あのおばあちゃんも、亡くなったおじいちゃんのお墓も港にされると住民に教えられ、坂口さんに裏切られたと誤解。
そこへ坂口さんが来て「またじっじの墓そうじか。」と話しかけるが「お前なんか見たくねえよ。」と言い去っていくおばあちゃん。
同僚たちとお酒(松竹梅)を飲んで開発ブルース歌うシーン良い。酔ってる浜田光夫さんかわいい。
♪どうすりゃいいのさ町長さん 用地は地主が離さない
ああ 切ない開発ブルースよ
いかに鹿島のためとはいえど 妻と別れて 幾年過ぎた
男やもめの 雑魚寝の部屋で 潮来ネオンがまた招く
ああ 切ない開発ブルースよ♪
☆+.°
水戸駅。東京から来た野田さん(三國連太郎さん)を見つけ、「野田さん!建設省の野田さんじゃありませんか。居茨城県開発課の坂口です。いつぞやあの東京で!」と声をかける。「その節はいろいろお世話になりました!(野田さんの荷物を持ち)あっ、これお持ちします!乗り場そこですから!」と県庁へお連れする。よく気の利く人だ…気持ちがいいね。
そして茨城県農業試験場へ。ニコニコ嬉しそうに植松さん(石原裕次郎さん)に報告。
坂口「とうとう来ましたよ!野田さんですよ!ついさっき県庁に!」
植松「本当か?」
坂口「嘘言ったってしょうがないでしょう!今頃きっと知事と…!」
本当に嬉しそうで可愛い。
☆+.°
野田さんが来て報奨金を決めて以来、土地は買い上げられるようになったが、その代わりの住民の為の土地があまりにひどい。農業なんか出来ない砂地だ。
植松さんとその予定地に来た坂口さんは、植松さんに尋ねます。
坂口「こんな荒れ地を代わりにやって、こんなことでいいんですか?植松さん。」
植松「野田さんのやり方もよくわかるが、なんとかしなくちゃな。坂口、ここになんとか常陸川の川底の土を運べないかな…」
坂口「川底の土を??」
植松「そうだ。ここに運べたら日本一の農地になるぞ。」
坂口「日本一の?」
植松「だが運ぶ方法がない。まさかトラックというわけにもいかんしな。」
坂口「そうですね…」
植松「どうだ、何かいい知恵浮かばんか?」
坂口「うーん、川底の土でしょ。港の土をさらうわけにはいかないのかなー。パイプで。」
植松「お前今何て言った?」
坂口「パイプですよ。」
植松「そうだ!!それだ!!パイプだ!!パイプだよ!!」
坂口さんナイスアイディア~♪
☆+.°
パイプ作戦は成功。上質な泥に喜ぶ地元の人々。
「その土はトマトでもピーマンでも、あと10年は肥料なしでOKですよ!!!」
☆+.°
そんな努力の甲斐あり、住民の承諾を得られていく。
このおじさん、前に塩かけて追い払ってた人だ…わかってもらえて良かったね…!
☆+.°
お墓の引っ越し先。おばあちゃんと坂口さん。
「墓の引っ越し先はここなんだよ。今はまだこんなだけど、立派なのができる!きっと、じっじも喜ぶよ!団地は近いし、海だってそんな遠くない!ほら、風に乗って潮のにおいがしてくるじゃないか。……おばあちゃん?」
『坂口さん、おら、あんた信用すっぺ。』
辛い仕事ですね……
☆+.°
完成セレモニー。花火の音が聞こえてきます。
職員たちは参加もできず、社員寮。
坂口「えらく派手に鳴るな。」
同僚「鹿島は歴史に残っても、我々がやったことは誰も思い出さないだろうな。」
横山(川地民夫さん)「みっともないこと嫌なこと、ずいぶんやってきた。でもそうやらなきゃできなかった。」
先輩「それでいいのさ。苦しかった思い出は俺たちの胸に生きるよ。」
坂口「でも今日の祭りは、所詮雲の上の祭りですよ。」
先輩「いいじゃないか。そのうち俺たちの祭りをやろう。本当の土民の祭りを。」
「いいな、そいつは!」
坂口さん(左端)落花生的なものずっとぽりぽり食べているの可愛い。
「終」
こういった人たちの努力があって、開発がなされていくのですね。
制作は石原プロモーションなのですが、この当時経営はかなり厳しかったみたいですね。社史によると。
当時所属の俳優さんはほとんど出演しているみたい。日活出身では、浜田光夫さん、川地民夫さん、小高雄二さん、武藤章生さん等。
浜田光夫さん演じる坂口さんと北林谷栄さん演じるおばあちゃんの関係が良い。
坂口さん、いつも一生懸命で、ハキハキしていて、見ていてとても気持ちの良い職員さんでしたね。