浜田光夫 研究室

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岡 ななみ
   

 青春に夢と希望を!

別冊近代映画 若い東京の屋根の下 特集号 63年8月
浜田光夫さん、吉永小百合さん
   
     

  • 学生時代から知っていたお二人?
    とんだ話が飛び出した「真夏の昼のお喋り!」
    若さあふれるランチ・タイムの愉しい雰囲気を!
  •  
      ☆ 五ヶ月ぶりでコンビ復活 ☆

    浜田「小百合ちゃんと本格的なコンビ組んだの、ずいぶん久しぶりだネ。」
    吉永「ほんと。『泥だらけの純情』で赤倉ロケに出かけたのが、二月だったかしら。あれ以来……。」
    浜田「三、四、五……(指を折って数えながら)足かけ五ヶ月。それにしちゃア、おたがいあんまり変わり栄えしないけどサ。(笑)」
    吉永「あらイヤだ。だって、ついこのあいだ『伊豆の踊子』で顔を合わせたばかりですもの。」
    浜田「ウン。お話の前後に、チョッピリつきあわせて戴きました。ヒデキ(高橋英樹さん)には悪かったけど…。(笑)」
    吉永「短いシーンだったけど、みんな感心していたわ、浜田クンの芸熱心に。服装から言葉づかいから、すっかり現代の大学生になりきっているって。あれ、浜田クン自分でいろいろ工夫したんですって?」
    浜田「工夫ってほどじゃないけど、そこが現役の大学生の強味サ。」
    吉永「そういわれれば…ほんとにそうだったわ(笑)」
    浜田「なんだい、心細い返事だなア。(笑)もっとも、あんまり大学へ行かない大学生だけど、やっぱり仲間同士ふだん喋ったり、遊んだりしてるなかに、自然ににじみ出るものがあるし……。」
    吉永「現代大学生気質、といったようなもの…。」
    浜田「それそれ。なにかこうスカッと割りきった、いい意味でのドライさがあるだろ。そいつを表現できたらと思ったんだ。あんまりうまくいかなかったけど。」
    吉永「ごケンソン、(笑)とってもお見事でした。」
    浜田「ま、小百合ちゃんには『俺の背中に陽が当る』で、なにかとご協力いただいたし、ほんのお礼のシルシに…。ヒデキのやつ、「あんまりやりすぎて、オレの営業を妨害するな」なんて……」
    吉永「いった?」
    浜田「イヤ、いわなかったけどサ。(爆笑)ところで、こんどの作品の感想はどう?斎藤先生(斎藤武市監督)のものに出して戴いたの、オレずいぶん久しぶりなんだ。たしか、おととしの『母ちゃん海が知ってるよ』以来……」
    吉永「わたしも。宍戸錠さんの『ろくでなし稼業』以来だから、ざっと三年ぶり。」
    浜田「斎藤先生のデビュー作に、『姉さんのお嫁入り』っていうのがあるんだ。知ってる?」
    吉永「ええ。よかった、すごく。とっても泣けちゃった。」
    浜田「オレもそうなんだ。だいたい、先生はアクション物より抒情的な作品のほうがお得意なんだ…なんて、あんまり生意気なこといってると、後で叱られちゃいそうだけど。」
    吉永「でも、こんどのお仕事では、先生もとても張りきっていらっしゃるようね。「純愛コンビを手掛けるのは初めてだけど、これまでとは違った新生面を開拓したい」とおっしゃって。」
    浜田「先生の期待を裏切らないよう、おたがいガンバラなきゃ。」

      ☆ 印象に残ってた 美しい女学生 ☆

    吉永「斎藤先生といえば、『ろくでなし稼業』での私の役が、クリーニング屋の娘だったの。」
    浜田「ところが、こんどの『若い東京の屋根の下』じゃ、賢ちゃん(山内賢さん)がやっぱりクリーニング屋の息子になって登場する。なんだか妙な因縁だネ(声色で)[因果はめぐる小車の…]おいうところかナ。」
    吉永「浜田クン、山内さんとは同級生だったんですって?」
    浜田「ウン、玉川学園で同じ教室に机を並べ合った同士なんだ。」
    吉永「どっちが秀才だった?」
    浜田「どっちが?そいつはノー・コメント、賢坊に悪いもの。」
    吉永「じゃ、浜田クンのほうが成績がよかったの?」
    浜田「イヤ、だからあんまり調子のいいこというと、あとの祟りが恐ろしい…。(笑)彼とオレ、学校への往復もいつもいっしょだったんだ。それで、よく小百合ちゃんの噂なんかしてた…。」
    吉永「まあ、ホント?」
    浜田「二人でホームに立っていると、通学カバンを提げたキレイな女学生があるいていく。「知ってるかい、あれ日活の吉永小百合だよ」って…。「どうだ。なかなかイカス子だろ」ってオレがいうと、賢ちゃんが「ウン、イカスイカス…」(笑)」
    吉永「ウソ!(笑)それで思い出した、あのときのガラの悪い高校生が、浜田クンたちだったのネ。」
    浜田「「ガラの悪い」はないだろ。あの頃のオレ、すごくマジメだった…いまでもそうだけど。(笑)悪事を働いたといえば、弁当を朝の10時頃喰ったことくらい。とってもお昼まではガマンできないよ、当時のオレたちの旺盛な食欲としましては…。」
    吉永「「センダンはフタバより芳し」ネ、いかにも浜田クンらしい、傑作なエピソードだわ。(笑)」
    浜田「別に意義は申し立てません、厳粛なる事実なんだから。(笑)こないだ、ヒデキにその話をしたら、「お前もやっぱりそうだったか」って。あいつはもっとすごかったらしい。朝、学校へ着いたとたんに、もう食べだすんだって。」
    吉永「道理で二人ともよく、気が合うと思った。」
    浜田「気は気でも喰う気一本ヤリだけどネ。」
    吉永「高橋くんが盲腸にかかったときは、ほんとうにビックリしちゃった。」
    浜田「ちょうど、『伊豆の踊子』の撮影が追い込みにかかったときだったネ。小百合ちゃん、パリ出発の予定日は目の前に迫っているし、ハラハラしたんじゃない?」
    吉永「ええ。マコちゃん(和泉雅子さん)といっしょにお見舞いに行ったの。「今一番何が食べたい」ってたずねたら、「ゼイタクはいわない、この氷マクラの氷を、ひとかけら食べさせてくれたら」だって…。(笑)」
    浜田「ヒデキらしくもない、殊勝なセリフをいったもんだナ。(笑)大食漢のあいつのことだから、入院中はそれこそ死ぬような思いだったろうな。」
    吉永「喰う気(空気)がなくなったら、風船だってシボンでしまうのがあたりまえでしょ。」
    浜田「やられたッ、(笑)オレもじつは、それをいいたかったんだ。(爆笑)話題を替えましょう。小百合ちゃん、BG役っていうのはこんどが初めてじゃない?」
    吉永「そうなの。これまでは女学生役とか、看護婦さんとか…自分でも不思議なほど普通のオフィス勤めのサラリー・ガールの役には恵まれなかったの。」
    浜田「どういうわけだろ。あんまり若すぎたせいかナ?オレだって、いまだに高校生に見られることがあるくらいだから…(笑)レッキとした大学二年生をサ。おたがいに童顔でワリ喰っちゃうね。」
    吉永「ほんと。わたしだって映画界に入っていなかったら、いまごろはちゃんとした大学一年生かBG一年生ですもの。」
    浜田「BGというからには、一応ソロバンなんかもできないと…。」
    吉永「それで困ってるの。こうみえても、高校時代に複式簿記だけは勉強したことがあるによ。でも、カンジンのソロバンができないんじゃ。それともうひとつ、ダンスのシーンがあるでしょ。だから、とりあえずソロバンとダンスを目下猛練習の最中なの。」
    浜田「要するに大人の役はたいへんだってこと!謹んでご同情申し上げます。(笑)」

      ☆ 賢クンと3人で 楽しい音楽映画を ☆

    吉永「こないだ、浜田クンの『煙の王様』拝見しました。とってもよかったわ。」
    浜田「ポパイになった市川(好郎)クンの演技、どうだった?オレ、全然喰われちゃって、兄貴の貫禄全然なしサ。」
    吉永「彼、楽しそうにやってたわね。『キューポラ』の頃に比べると、一段とお芝居が達者になった感じ。でも、浜田クンだってむずかしい役をよくコナシてるなアと感心しちゃった。」
    浜田「オレ、一人っ子だろう。それが、あの映画ではポパイ、オクニ、ゲソと三人の小さい弟や妹をいっぺんに持ったんだから、勝手が違ってネ。」
    吉永「ちょうど、こんどの『若い東京の屋根の下』のわたしみたいなものね。きょうだいが大勢で賑やかなのはいいけど、あれが現実だったら、ちょっとやりきれないんじゃないかしら。」
    浜田「そうかナ、小百合ちゃんは実際にも、いいお姉さんと妹さんに恵まれてるから、それほどでもないだろうけど、オレ、つくづく兄貴や弟がいたらナと思うことがあるんだ。せいぜい会社に頼んで、これからもきょうだいの多い役を、ウントやらしてもらいたいよ。(笑)」
    吉永「わたしも、ポパイみたいな元気な男の子なら、一人くらい弟にほしいナ。」
    浜田「オレも小百合ちゃんみたいな、可愛らしい妹を…。(笑)ところで、こんどの主題歌(佐伯孝夫作詞、吉田正作曲『若い東京の屋根の下』)、全然いい感じだネ。」
    吉永「きいていると、ひとりでに心が浮き立つような、ほんとうにいいメロディーね。」
    浜田「覚えやすいしサ、(口ずさんで)「山の手も下町も、下町も山の手も…」小百合ちゃんの歌も、いよいよ本格的だネ、橋(幸夫)さんとのデュエットきいてても、少しも遜色を感じないもの。」
    吉永「アラお上手いってる。(笑)浜田クンの歌もなかなかイカしてるじゃない?ホラ、最近吹き込んだ『草笛を吹こうよ』っていうの。わたしも、ぜひ覚えたいと思っているのよ。」
    浜田「なにしろ身近に小百合ちゃんみたいな大先輩がいるんだから、いろいろ勉強させて戴いてます。これ、お世辞じゃないんだぜ。(笑)そういえば、この作品では賢坊も唄っているよ、『東京もいいけど田舎もいいさ』…文句からだけいうと、スマートな賢坊よりオレのほうにピッタリっていう歌だけど。」
    吉永「ゴケンソン。(笑)山内さんって、すごい音楽ファンなんですって?」
    浜田「そりやアもう、たいへんなものサ。彼の家へ行くと、すごいハイファイはあるし、モダンジャズのめぼしいレコードなら、たいてい揃っているし…。一度、小百合ちゃんのピアノと彼のギターとオレのバイオリンとで、トリオを編成して大いにやってみたいナ。」
    吉永「サンセイ!(笑)」
    浜田「ミッチリ練習を積んで、自信がついたら、こんどは音楽映画に進出する…なあんてネ、夢だけはデッカイよ。(爆笑)」

     ☆ さようなら ニキビさん!! ☆

    吉永「ところで浜田さん。(笑)」
    浜田「なんだい、改まって。なんだかオッカナイぜ。(笑)」
    吉永「このごろ、学校へはマジメに出席していらっしゃるの?」
    浜田「イヤだなア、そうくると思ったヨ。まあネ、ボツボツ勉強しております…といいたいけど、これがどうも、あいかわらずサッパリなんだ。」
    吉永「わかるわ、その気持ち。でも、そんなこといってるあいだに、そろそろ夏休みでしょ。」
    浜田「そうなんだ、まったく調子狂っちゃうナ、せっかく向上心に燃えたぎっているのに…。」
    吉永「とかなんとかいって、じつはホッとしてるんじゃない?」
    浜田「とんでもない!(笑)だけど、正直いって夏休みの間だけは、みんなに遅れないで済むわけだからネ、チョッピリ肩の荷が軽くなったような気がするんだ。告白しちゃうとサ…。」
    吉永「じゃ、この夏のバカンスは、もっぱらお勉強?」
    浜田「どういたしまして。せいぜい泳ぎまわって、体力作りに励むつもりなんだ。もっとも、人並みに休暇が取れたらの話だぜ。バカンスで思い出したけど、今年は小百合ちゃん全然ゴキゲンだろ。優勝街道をバク進する読売ジャイアンツ…これでもう13連勝が2回もつづいちゃったし。」
    吉永「あんまり勝ちすぎて、つまんなくなるくらい。(笑)」
    浜田「小百合ちゃんのごひいきは、たしか坂崎選手だったネ。」
    吉永「浜田クンは広岡遊撃手…。」
    浜田「どっちも同じ巨人軍でよかった。でなきゃ、喧嘩になるところだからな。いくら小百合ちゃんでも、こればっかりは譲れないからネ。そういえば、こないだ宣伝部の部屋で、しきりにキミの噂をしているんだ。「すごいね、だんだん球速が出て来たナ」なんていっている。「どこのピッチャーです?」っていったら、「そうじゃない。ウチのオンナ金田の話だよ」って。よく見ると、中庭で小百合ちゃんがキャッチボールの最中だった。」
    吉永「まア…(頬を赤くして、ちょっと恥ずかしそう)」
    浜田「そこでオレ、言ってやったんだ。「そういえばボクだって、こないだデッカイ本塁打を打ったんですよ」、「ヘエー、どこでだい?」、「イエ、今撮っている『若い東京の…』のなかでのお話ですけど」って答えたら「なあんだ、つまらねエ」だってサ。(爆笑)」
    吉永「あの当たりは、いくらヒイキ目に見ても、せいぜい三塁打ってとこネ。浜田クン、身の軽いところを発揮して、ランニング・ホーマーになったけど。(笑)」
    浜田「そうハッキリいうもんじゃないヨ。あれだって、前の晩、100回もバットをスブリしたり…たいへんな努力だったんだ。おかげで掌はマメだらけ…。いつかぜひ、オンナ金田とお手合わせしたいナ。」
    吉永「ヨーシ、浜田クンなんて、いっぺんにヒネッちゃうから!(笑)なアに、どうしたの?急にあたしの顔をみつめてニヤニヤしたりして…。」
    浜田「ウウン、なんでもないよ。(あいかわらずニヤニヤ)」
    吉永「正直におっしゃいよ。気にしないから。」
    浜田「気のせいかナ…小百合ちゃんのニキビ…。」
    吉永「まあ、ニキビ?失礼な!(笑)」
    浜田「だんだん減ってきたみたいなんだ。本人は気付かないかもしれないけど。(笑)」
    吉永「あら、そういえば、浜田クンも…だいぶ少なくなったみたい。なんだかスベスベして…。」
    浜田「スベスベはオーバーだけど、(笑)オレ、このごろ毎朝カガミ見てちょっとガッカリするんだ。せっかくの青春のシンボルが1日1日消えていくんだもの。」
    吉永「あたしも、ついこないだまで、毎朝「ニキビさん、お早う。きょうもイッパイね」なんてアイサツしていたのが、だんだん縁遠くなってきちゃった。(笑)」
    浜田「皮肉なもんだネ、あればあるで猛烈に気になったやつが、薄れるにつれて、なんだか淋しくなってくる。」
    吉永「それだけ、おたがいに大人になったわけかしら?」
    浜田「オレ、小百合ちゃんがパリで、ニキビとりのヒケツでもマスターしてきたのかと思ってた。(笑)」
    吉永「とんでもございません。(笑)やっぱり年の功なのよ、きっと…。」
    浜田「オレたちも、いつまでもマゴマゴしておれないネ。このぶんでいくと、あっというまにおじいさんになっちゃう。」
    吉永「まさか…。(笑)でも、ほんとうネ、青春時代は二度とないんですもの。いまのうちに、うんといいお仕事をして…。」
    浜田「よく学び、よく遊べか。同感!(笑)」
     


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