浜田光夫 研究室

浜田光夫さんファンによる

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管理人
岡 ななみ
   

 この若さある限り

   
    配給:日活

    公開:1961.6.5

    監督:蔵原惟繕

    脚本:岡田達門

    原作:石坂洋次郎「夏の陰画」

    共演:吉行和子、吉永小百合、内藤武敏

    浜田光夫さんの役名:大和田行雄

    ♥ ストーリー
    高校3年生の行雄(浜田光夫さん)には家も隣同士で同級生の幼馴染・亮子(吉永小百合さん)がいるが、女教師ののぶ子(吉行和子さん)に恋心を抱いている。大学に合格し、のぶ子に恋文を渡す。亮子が交通事故に遭い入院するが、行雄は見舞いにも行かずのぶ子のいる銚子へ。熱帯夜、二人は身体を求めあうが一線は越えなかった。のぶ子は行雄に別れを告げ、永瀬(内藤武敏さん)との事務的な結婚を選ぶ。亮子の退院の日、行雄は笑顔で手を差し伸べる。

    ♥ 好きなシーン
    ※ストーリーの流れ関係なく浜田光夫さんの出演シーンのみです。一度観た記憶を元にしているため不十分な箇所や私の思い込みな部分があるかと思われます。

    のぶ子の授業を受ける行雄。ローレンスの詩を音読しながら教室を歩くのぶ子。行雄は机に添えられたのぶ子の指を意識している。
    放課後、亮子に『一緒に帰らない?』と声をかけられるが「先生に相談があるから」と冷たくあしらう。女友達に行雄との関係を聞かれた亮子は『ただの幼馴染よ』と答えると友達は『私が彼と付き合おうかな』と言い出す。
    行雄は門でのぶ子を呼び止める。「先生!もうせんローレンスの本が気になっちゃった。」詩集を借りる。
    帰宅し、自室で早速詩集をめくる。男性(内藤武敏さん)の写真が挟んである。
    その様子を隣の家の亮子が窓越しに見つめている。

    行雄は居間で妊婦の写真を眺め、母に「お母さんはまだ妊娠できるかい」などと問いかけている。
    電話が鳴る。「僕行雄ですけど。」亮子の女友達だ。本屋に呼び出される。「やだよ!ちぇっ!」
    電話の応対を聞いていた母に、レディーへの口の利き方に気を付けなさいと注意をされる。「レディー?ハッ!子供だよ。」同じ歳じゃないの、と言われ「僕はもう生殖機能もあるんだから」
    嫌な顔する母に「怒った顔もかわいいよ。」

    本屋にて。雑誌セブンティーンを見ながら編み物の訳を頼まれ、女友だちと行雄は一冊の雑誌を覗き込み話している。通りかかった亮子に目撃される。
    帰宅した行雄のもとへ亮子から電話が。☎『見損なったわ!』
    「えっけん生意気な奴!チェッ!」

    授業中。机にN.Kと彫っている。河合のぶ子のイニシャルですね…
    うしろの席の男の子といざこざになる。

    門でうしろの席の男の子集団に絡まれる。「僕に何の文句があるんだ!」そこへ先生が通りかかり、何やってるのと注意され「駅まで何歩あるか数えてるんです。そうだよね?」
    場所を変え学校の裏で5対1くらいで殴り合いの喧嘩。亮子たちが止めに入る。『人殺しー!』と叫び、不良たちを追い払う。無言で立ち去ろうとする行雄に『ありがとうも言えないの?』行雄「…ありがとう!」むしゃくしゃした様子で川原で顔を洗い涙拭き拭き「先生!」思春期の微妙な感じね。
    帰宅し、ぼろぼろで心配されるもそのまま自室で眠り込む。目を覚ましおもむろに机に座り、先生に恋文をしたためる。

    翌朝、元気いっぱいに「おはようございます!散歩してくる!」と家を出て、手紙を持ちポストへ走る。曲がる時腕をぐるぐるしていてかわいい。子供だね。
    ポストへ投函しようとしたところへ先生が現れ、投函し損ねる。『おつかい?』と尋ねるのぶ子に「そんな子供だとおもってるんですか」喫茶店へ行く。先生は男子に人気があって猥談のネタにもされていると話す行雄。「まったくひでえことばっかりで頭きちゃう。」
    『この格好、奥さんみたいでしょう?』「すごく綺麗です。」

    大学合格発表の日。「あった!」合格を確認し、その足で高校の門でのぶ子を待ち伏せし、手紙を渡す。いっしょにいた先生に美少年と形容されていた!浜田光夫さんが美少年扱い珍しい!実際超美少年なのにね。

    家族も亮子も心配して待っているが家にも帰らずジャズ喫茶(?)にいる行雄。そこへ女友達が。煙草を吸ってむせる。「酒なら飲めるんだ。」すぐに「失敬する。」と帰って行く。亮子に行雄がいたことを電話で教える友達。
    行雄はのぶ子の下宿先へ。『家上がる?』と言われ上がり込む。最初あぐらをかくが、正座に座り直す。「息苦しくて…手紙は見ましたか。」『見たけれどなにしろショックで…』「先生僕のこと嫌いですか。YesかNoかで」『嫌いじゃないわ。だけど手紙ではのぶ子さんなのに先生と呼んでいるあなたも線引きをしているわ』ジュースを取りに行くのぶ子。「あいてててて…」と立つ。人形を手に取り、キスさせる。
    のぶ子の恋人の永瀬が来る。のぶ子は生徒に人気があるか尋ねる永瀬に、のぶ子さんは人気がありますと答える。のぶ子と呼ぶことで口論になる。先約は永瀬だからと言うのぶ子。走って帰る行雄。
    永瀬は無理矢理のぶ子を抱こうとするが、拒絶する。どうせ結婚するのに接吻もたまにしかしないと文句を言う永瀬。のぶ子は人形を使い性的魅力がないと言わせる。

    友達とテニスをする行雄。「今日はいただきだな!」
    亮子がこちらを見ている。無視する行雄。気になり亮子の方を見るがいない。近くに来た亮子『いじわる!どうしていままでみたいに付き合えないの?』「僕の勝手だろ」『ずいぶん勝手ね!』「僕はもう大人なんだ。子供っぽいことには飽き飽きしているんだ。君も含めてね。」行雄をビンタする亮子。「チェッ!」

    またのぶ子の家へ。縁側で寝ているのぶ子を起こす。
    机から身を乗り出しながら話す行雄に、『そんなことしたって駄目よ』と諭すのぶ子。永瀬がやって来る。帰る行雄を追うのぶ子。「あの人、恋人ですか。」兄の友達で結婚することになると思うが恋人らしい付き合いはしていないと説明する。行雄は笑顔になり「いいんだ、恋人でも!」と走り出す。「ハイヨー!パカラッパカラッ!」時折子供になりかわいいです。

    帰宅し、ウクレレを弾きながら鼻歌まじりな行雄。母から、亮子がテニスコート近くで交通事故に遭い病院に運ばれた、母さんも準備して行くから先に行きなさいと言われるも、「行きたくないよ…」『行け!』家を出るが、病院には行かずのぶ子の下宿先へ。大家さんにのぶ子は銚子へ行ったと聞き、ボストンバックを持ち銚子へ向かう。浜辺にいるのぶ子を見つけ「先生ーーーーー!」逃げるのぶ子を追いかける。「先生ーーーー!先生ーーーー!」追い付き息切れしながら「会いたかった。僕は恋人がいたって平気なんだ。」

    亮子は病室で友達から行雄が先生のいる銚子へ行ったと聞き『もうだめよ、あの人なんか。』

    歌いながらお風呂に入る行雄。ビールを飲む。パイル地のシャツ。別々に過ごしているがいつも意識をしている。
    本を読んでいるのぶ子。外では貝殻を踏みながらのぶ子の部屋を見つめる行雄。玄関に座りながら鼻歌を歌っているとのぶ子が来る。「どうしても眠れないんです。」『散歩でもしましょうか。』浜辺を歩くがどこかよそよそしい。
    「本当は朝まで泊めてもらうつもりだったんです。」『怖くない?』「怖いけど、僕はあなたが好きなんだ。」『引き返しましょうか。』

    蚊帳の中、「先生!」と思いきり抱きつく。張っていた蚊帳が落ちてくる。首筋に顔を埋めて「先生!先生!」と縋っている。我に返ったのぶ子がすり抜ける。蚊帳の中でもがく行雄を見て笑うのぶ子。「何がおかしいんだ!」走り出す行雄。そのまま悪天候の海に向かっていく。のぶ子が追いかけるが行雄はどんどん海の中へ。『行雄さん!行雄さん!』しばらくして上がってきた行雄。
    のぶ子は「私たち間違っていたのよ。さよならしましょう。』と別れを告げる。「先生…!」
    明くる日、行雄ひとり舟に乗っている。すれ違う船には永瀬が乗っている。

    帰宅するも家族は留守で、亮子の母から亮子の見舞いに行っていると聞く。亮子の病室に現れた行雄。「やあ!」『旅行おもしろかった?見損なったわ。』「なんだってそう攻撃したいんだ。はっきり言うよ。河合のぶ子先生と泊まったよ。接吻もしたよ。それ以上のこともしたよ。こう言えば君の好奇心は満足かい。」『不潔ね!』「僕は自分で背伸びしていたのに気が付かなかったんだ。大人だと思ってたんだ。」『行雄さんのバカ!バカバカ!」布団をかぶって泣く亮子。「だけど自分でやったことを間違ったと思っているけど後悔はしていないよ。こうして大人になって行くんだ。」お父さんが入って来る。「帰るよ。」と行雄は帰る。

    のぶ子は永瀬との事務的な結婚を選ぶ。
    N.Kと彫られた机には行雄ではない違う生徒が座っている。

    清々しい顔で電車の横を駆け抜ける行雄。
    亮子の退院の日だ。
    「ごめんごめん!ゼミナールで遅くなっちゃったんだ!」手を差し伸べて「さあ!」『許してあげる!可哀想だから!』手を取る亮子。
    倒れそうになる亮子を支え、「大丈夫?」
    車に乗るよう促すお母さんに、「久しぶりだから歩きたいんだってさ!」
    松葉杖を母に渡す亮子。
    「さよなら!じゃ!」と亮子を引っ張り並木道をふたりで走る。

    ~終~





    思春期の少年の揺らぐ心、そして身勝手さ。
    性への関心なんてまるで無いような爽やか好青年役の印象が強い浜田光夫さんが、まだ光昿名義の時分にこんな役をやっていたなんて驚きです。まだ定番の役どころが定まる前の挑戦だったのでしょうか。セリフの無い表情だけのシーンも多いですが、すでに目や仕草での表現力がお見事です。


    個人的には苦手なストーリーです。亮子以外まともな人がいない。行雄は自分勝手が過ぎて若気の至りとは納得できない。のぶ子ははっきりせず弄んでいる。永瀬は欲望だけ押し付けている。若い行雄も、歳を重ねた永瀬も、結局は自分の欲望まみれで、男なんていくつになっても変わらないものと言いたいのかな?
    同じ石坂洋次郎さん原作の「赤い蕾と白い花」のような世界が理想だけど、現実は「この若さある限り」なのだろうなと思うと…汚いですね。

    ラスト、悪びれる様子もなくひとりで清々しい顔しているのが腹立たしいよね…。許してあげるなんて亮子ちゃん偉いよ。行雄は『可哀想だから』ってところの含みをよーく読み取ってくれよな!(「赤い蕾と白い花」の浜やんの台詞引用(笑))
    でも最後はいつもの青春映画の浜やんと小百合ちゃんになっていてわたしゃ嬉しいよ。足ケガしてるのに走らせて振り回して亮子ちゃんが心配だけど。最後までいたわりが感じられなくて。


    浜田光夫さんご自身が後に蔵原監督のエピソードとして、蚊帳のシーンがなかなかOKにならず、何度も何度も吉行和子さんに抱きつくのが申し訳なくて大変だったとおっしゃっておられますがそのシーンを実際に見ることが出来て良かったです。










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